公開情報

財団事業公開情報 多文化共生の推進と日本語普及 言語の調査研究活動 異文化理解の促進

事業計画書

第45期事業計画書

自 2017年 4月 1日
至 2018年 3月31日

はじめに

 ラボ国際交流センターは今年,公益財団へ移行して6年目を迎えます。1972年にスタートした青少年国際交流事業は46年目となります。

 46年前,時代背景としては,名実共に世界のリーダーであったアメリカに,今や伸びんとする日本が世界とより理解を深めんとする側面がありました。 当時アメリカを訪問した日本のラボ国際交流参加者を受け入れたのは,経済的にも精神的にも余裕のあった厚い層の中産階級のホストファミリーの方たちでした。それから50年近くが過ぎ,今世界は大きな変動期に入ってきています。 多様な家族形態の誕生,また経済格差による中産階級の減少,それによってラボ国際交流参加者を受入れてきた階層の家族は影を潜め,現地交流担当者がホストファミリーを探すことは厳しさを増してきています。

 このような状況の中,昨年11月,ラボ国際交流の最大の相手国である米国で新しい大統領が誕生しました。トランプ大統領は歯に衣着せぬ物言いで大衆の注目を集め,アメリカが中心となり押し進めてきたグローバリズムから脱却し, 自国中心主義への政策の転換を図っています。私たちが危惧することに,アメリカがこれまで価値を置いてきた多様性(ダイバーシティ)が否定される響きが感じられることです。 しかしグローバリズムに対するバックボーンとして,再度インターナショナルの視点が見直されるのではないでしょうか。

 今年,ラボ国際交流プログラムを通して約820名の青少年,並びに引率者が海を渡ります。またアメリカを中心として,150名ほどの外国の青少年と引率者が来日し,ホームスティを行う予定です。 これらの参加者は正に,People to peopleの体験を通した民際的な学びを経験するでしょう。

 ラボはその設立当初より,ヨーロッパの言語としての英語と,もう一つの外国語としてのアジアの言語を念頭に活動を継続してきました。 勢い英語が中心とならざるを得ませんでしたが,今,日本の青少年も,また彼らを育てる大人も,インターナショナルの考えの中で,日本人か何故英語を身に着けようとするのか, 日本人が英語を学び身に着けるとはどういうことなのかを再確認する必要があると考えます。その態度こそが,世界で求められる多様性に適う人間を育てていくことになるでしょう。

 青少年国際交流事業では春の中国交流,夏のアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・韓国5ヶ国とのホームステイ交流,および米国オレゴン州での国際キャンプに全国の中学生・高校生約700名が参加します。 高校留学プログラムでは35名の高校生がアメリカ・カナダで約1年間の留学生活を予定しています。外国青少年受入れでは,北米を中心に7ケ国から約150名の青少年が来日し,ラボ会員家庭で家族の一員としてホームスティを行います。

 言語の調査研究活動では,受講生の便宜を図るために東京言語研究所の主たる事業である理論言語学講座の時間割を大幅に改編し,受講生の増加を目指します。 また春期講座では,2日間で幅広い領域にわたる講義を展開します。そのほかに,広く言語学に触れる機会としての公開講座,夏期講座,一つの専門領域を学ぶ集中講義を開催予定です。

 多文化共生のための日本語普及と支援活動では,外国人のための日本語本科コース,外国青少年のための短期日本語研修,ボランティア市民への日本語教育指導などを実施します。 インドネシアから高校生が来日し,日本語研修を含む,日本文化体験学習コースも予定しています。このコースでは短期ではありますが,当財団会員家庭に2泊3日のホームスティも予定しています。 日常的にはなかなか触れ合う機会のないムスリムの方たちとの交流体験は,一層多様性に触れる機会となるでしょう。地域支援活動では,川口市民を対象とした「日本語ボランティア入門講座」の開催, 中高年を対象にした市民講座『「盛人大学」国際コース』への講師派遣を行います。

 今年度の具体的な事業計画は以下のとおりです。

1. 青少年の国際交流活動 ~ ホームステイ相互交流
a. アメリカとの交流

 46年目を迎えたアメリカ交流は,7月下旬から8月下旬まで4週間,引率者を含め中学生・高校生の当法人会員578名が全米24州にホームステイします。 提携団体は,米国4-H,ペンシルバニア州メノナイト協会,ホームスクール協会,ユタ州プレミアム・インターナショナル,テキサス州国際協会などです。
 また,今夏,3週間の日本語研修プログラム受講者を含め,17州より約38名の青少年が来日予定です。来日者は全国各地の当法人会員宅に4週間ホームステイしながら日本の青少年と交流します。

b. カナダとの交流

 43年目を迎えたカナダ交流は,7月下旬から8月下旬まで4週間,引率者を含め中学生・高校生の当法人会員78名がカナダのBC州,AB州,MB州,ON州の4州を訪問します。 提携団体はカナダ4-H,カナダ青少年交流委員会,コンタクトカナダの3団体です。
 また,今夏3週間の日本語研修プログラム受講者を含め,4名の青少年が来日予定です。全国各地の当法人会員宅に4週間ホームステイしながら,日本の青少年と交流します。

c. オーストラリアとの交流

 35年目を迎えたオーストラリアとの交流は,7月下旬から8月中旬まで,引率者を含み,高校生の当法人会員15名が首都キャンベラとニューサウスウエールズ州のシドニーおよび近郊都市の学校を訪問します。 参加者は日本語を学習しているオーストラリア高校生宅にホームステイをしながら現地校に通学します。提携団体はニューサウスウエールズ州日本語教師協会です。
 また今冬,高校生20名が来日予定です。当法人の会員宅に3週間ホームステイをしながら,ホストと一緒に通学したり,日本のお正月を楽しみます。日本文化に触れ,同世代の青少年と交流します。

d. ニュージーランドとの交流

 16年目を迎えたニュージーランドとの交流は,7月下旬から8月下旬まで3週間,引率者を含め中学生・高校生及の当法人の会員43名が北島を訪問します。 参加者は,同世代のホストがいる家庭にホームステイしながら,ホストフレンドと一緒に現地の公立学校に通学します。タウランガでは受入れ協力団体「レッツホームステイ」が中心になり, タウランガ市の提携中学校(タウランガ・インターミディエット),高校(タウランガ・ボーイズ・カレッジ,タウランガ・ガールズ・カレッジ)が提携団体となります。 ダーガビルではナビ・アウトドアツアーズの協力のもと,ダーガービル・ハイスクールが提携団体となり参加者を派遣します。
 また今冬,青少年16名が来日予定です。当法人の会員宅に3週間ホームステイしながら,学校訪問や日本のお正月を体験し,同世代の青少年と交流します。

e. 中国との交流

 32年目となる中国との交流は,3月25日から4月2日まで8泊9日間,引率者を含め小学高学年・中学生・高校生・大学生・大人の当法人の会員28名が北京と上海を訪問します。 提携団体は,北京月壇中学と上海外国語大学付属外国語学校です。上海で4泊,北京で4泊し,それぞれの学校の生徒宅にホームステイをしながら中国の青少年と交流し,相互理解の促進と友情を育みます。
 今夏,7月下旬から約3週間,北京月壇中学から7名,上海外国語大学付属外国語学校から6名の学生・引率教師が来日予定です。当法人の会員宅にホームステイしながら全国各地の青少年と交流します。

f. 韓国との交流

 再開18年目の韓国との交流は,7月下旬から11日間,引率者を含め小学生高学年と中学生・高校生・大人の当法人会員30名がソウルを訪問します。 提携団体は,「社団法人韓国ラボ」です。参加者は韓国ラボの会員家庭でホームステイをおこない,キャンプを通じて現地の青少年と交流します。
 今夏,7月下旬から11日間,30名の韓国ラボ会員の小学生と中学生が来日予定です。全国各地の当法人会員宅にホームステイしながら日本の青少年と交流します。

g. オレゴン国際キャンプ

 21年目のオレゴン国際キャンプは,7月下旬から8月中旬まで3週間,引率者を含む中学生・高校生の当法人の会員17名が青少年国際キャンプに参加します。 期間中,バックパック・キャンピング,大自然のなかでの川下り,自然観察,生物観察,化石収集,海洋生物観察など幅広い活動に参加します。野外活動を通じて自然の中での協力意識を育てながらキャンプリーダーとしてのスキルを身につけ, 自然との共生への理解を深めます。キャンプには同世代のアメリカ人学生が参加し,日本の参加者と交流します。アメリカ人と友情を育み,相互理解を促進する機会となります。
 提携団体はオレゴン州ポートランドに本部を置くオレゴン科学産業博物館(OMSI)です。

2.青少年の国際交流活動 ~ 長期交流プログラム
a.高校留学プログラム

 30年目を迎えたラボ高校留学プログラムは,過去1,282名の高校生を海外に派遣してきました。
高校生年代の若者にとって,外国での約一年間にわたる長期異文化体験は強烈なインパクトを与え,その後の人生に大きな影響をあたえています。
 今夏,当法人会員の第30期留学生35名がアメリカとカナダの高校に1年間留学します。準備活動の一環として,親子オリエンテーション,全国事前研修合宿といった事前準備活動を行います。 米国への留学生は,7月下旬よりグループで日本を出発後,受入れ団体のオリエンテーションに参加します。その後,それぞれの留学先へ移動し,ホームステイをしながら現地の公立高校に1年間留学することになります。 カナダへの留学生は,8月下旬に出発しブリティシュコロンビア州バンクーバーで英語研修に参加した後,各州・各地区の教育学区の公立高校に,ホームステイをしながら1年間留学します。
 第29期米国留学生(2016. 7~2017.6)32名は,それぞれに留学生活を送っており,6月にシアトルで最終評価ミーティングに参加した後に帰国予定です。カナダ留学生は6月下旬にバンクーバーで帰国前プログラムに参加した後に帰国予定です。
 米国の留学提携団体は,米国国際教育旅行基準協会(CSIET)認可されている非営利団体―米国4-H,Aspect Foundationの2団体です。カナダの提携団体は,各州教育委員会です。

b. 高校留学のための通信教育「ブリッジ・プログラム」

 12年目の通信教育コース「ブリッジプログラム」は,高校留学をめざす者だけでなく,英語に興味をもつ中学生,高校生を対象に英語聴解力・文法・読解力を身につけることを目的に実施してきましたが, 内容の充実を図るために今期は実施を見送り,次期に再開の予定です。

c.大学生年代の交流―インターンプログラム

 今年30周年を迎えるラボ・インターンプログラムは諸外国から4名の大学生年代の学生が来日します。来日者は,1年間日本人家庭にホームステイしながら, 日本語学習・各自の日本文化研究・青少年との交流・海外青少年の受入れプログラム対応などの活動に参加します。日本文化研究については,各自が興味をもつ日本文化について,学習・研究をおこない,帰国前にその研究成果を発表します。
 現在,北米インターン3名(アメリカ2名,カナダ1名),オセアニアインターン1名(オーストラリア)が滞在中です。北米インターンは8月に帰国し,オセアニアインターンは来年1月に帰国予定です。 本年9月には,あらたに北米から3名,来年2月にはオセアニアから1名が来日予定です。1年間のホームステイによる日本滞在を終えて帰国後,あらためて来日し日本の大学への進学や就職する期参加者もいます。 ラボ・インターンプログラムは,参加者の人生に大きな影響・刺激を与えています。

3.東日本大震災被災児童への支援活動への協力

 東日本大震災後,各国大使館・企業・NPO法人などの協力のもと,被災児童の支援事業のためのSupport Our Kids Project実行委員会が立ち上げられ,特定非営利活動法人「次代の創造工房」が中心となり, 被災児童の自立支援―海外派遣が行われています。当法人は,プログラムの円滑な運営のために協力・支援を行います。

4.その他
a.2017年度ラボ国際交流のつどいの開催

 全国8ヶ所(札幌・仙台・首都圏・名古屋・大阪・広島・四国・福岡)で,2017年度ラボ国際交流参加者を対象にした「ラボ国際交流のつどい」(結団式)を開催します。 首都圏の「ラボ国際交流のつどい」には,この間会場となっていた日比谷公会堂が老朽化のために使えず,文京シビックホールに米国4-Hクラブの代表,また各国大使館や交流提携団体の代表者をお迎えし激励メッセージをいただきます。 参加者一人ひとりは舞台で自己紹介を行い,決意表明を行います。

b. 受入れ団体との合同委員会
(1)米国4-Hとの合同委員会

 米国4-Hとの交流では,円滑なプログラム運営のために全米各地の4-H代表者との日米交流委員会を構成し,合同委員会を年2回開催しています。今年も,11月に米国にて合同会議と全米交流担当者会議が開催され, 当法人スタッフ4名と普通会員であるラボ・テューターの代表1名が参加する予定です。交流担当者の研修を中心に,交流プログラムの充実のために様々な課題について討議します。来年2月末にも米国にて,2018年度プログラムに向けての春会議が行なわれます。

(2)米国ユタ州P.I.E代表者とのミーティング

 米国ユタ州にある交流団体,ユタ・プレミアム・インターナショナルの代表と,米国4-Hとの合同委員会に合わせて,ミーティングを行い,2017年の交流の評価と反省を踏まえながら,次年度プログラム内容の確認を行います。

(3)米国ニューメキシコ州L.B.NM代表者とのビデオミーティング

 米国ニューメキシコ州にある交流団体,ラボ・バッドランド・ニューメキシコの代表と,ビデオミーティングを行い,2017年の交流の評価と反省を踏まえながら,次年度プログラム内容の確認を行います。

5.東京言語研究所の活動
a.理論言語学講座

 理論言語学講座は,1966年に開設され,言語学に関心を持ちながら大学の内外で十分な学習 の機会・場所を持たない研究者・新進の人材の育成を目的に開催されています。
 今年度の理論言語学講座は,「認知言語学Ⅱ」(池上嘉彦先生),「音声学」(斎藤純男先生),「言語心理学」(佐野哲也先生)等の講座21課目を開講します。なお,講義開始時間を従来の18時を社会人が受講しやすい19時に変更します。

b.春期講座

 春期講座は,現代言語学の主要な研究領域やアプローチを受講者に紹介し,魅力ある言語学の世界に誘うことを目的に実施されます。今年度は4月15日と16日の2日間,15科目を開講します。

c. 特別講座

 当研究所では,通年の理論言語学講座・春期講座に加え,夏期講座・公開講座・集中講義などを開催し,言語学研究,言語教育に携わる多くの方々の多様な要望に応えてきました。 今年は公開講座(3回)・夏期講座(1回)・集中講義(2回)を実施する予定です。

6.日本語教育研修所の活動
A.外国人のための日本語教育
a. 長期コース

 外国人のための日本語教育「本科コース」は,今年30年目を迎えます。今年は,韓国・中国・ベトナム・モンゴル・ネパール・アゼルバイジャンなどの地域から,約90名の留学生を受入れる予定です。 ここ数年で長期コースは多国籍化が進み,昨年度,最大で12の国と地域から留学生を受入れることができました。今年度も多国籍を維持しつつ,さらに様々な国からの留学生を受け入れられるよう,態勢を整えます。
 昨年,ホームページのリニューアルが完了し,研修所の現在の状況を分かりやすく伝えることができるようになりました。今後は,より多くの留学生を受入れるため,中長期的な視野に立ち, 対象国ごとにその国の事情に合せたアプローチでのルート開拓とその安定化を目指します。

b. 短期コース
(1)インドネシア青少年日本語/日本文化スタディ・ツアー

 インドネシア青少年との日本語研修プログラムは6年目になります。4月中旬から8日間,教師2名,コーディネーター1名とともに高校生20名が「日本文化スタデイ・ツアー」で来日します。 来日者は日本語学習・日本文化ツアー・2泊3日の日本人家庭でのホームステイなどを体験します。

(2)北米青少年日本語研修プログラム

 北米交流の提携団体から青少年約20名が6月中旬から7月上旬まで来日し,当法人会員の日本人家庭にホームステイしながら,3週間の日本語研修に参加します。

(3) ラングブリッジ日本語研修プログラム

 11年目を迎えたカナダ・ラングブリッジ教育センター(LanguBridge Education Center)との提携の日本語研修プログラムは, 引率者1名を含めアメリカ,カナダ,ヨーロッパなどの高校生,大学生約15名が7月中旬から8月上旬まで3週間の日本語研修プログラムに参加予定です。

B.日本語教師の養成・ネットワーク化

 近年,留学生数の増加,国籍の多様化など日本語教育を取り巻く状況は大きく変化しています。当研修所では,こうした時代状況の変化をふまえ,教師養成・育成のための新しいプログラムを検討しています。 今年度は昨年度からの計画を引き継ぎ,日本語教師経験者のスキルアップを目的とした新規講座開講に向けて,パイロット事業を行う予定です。
 なお,恒例の埼玉県川口市主催の「日本語ボランティア入門講座」の企画・運営事業を当研修所が受託し実施する予定です。

C. 地域貢献活動
埼玉県川口市・市民講座「盛人大学」への協力

 「盛人大学」への関わりは,今年で6年目になりますが,中高年を対象にした川口市・市民講座「盛人大学」に講師派遣の形で協力します。 2017年6月からスタートする「盛人大学」では,石井評議員(東京女子大学教授・日本語教育),及び当研修所の日本語教師が講師を務める予定です。

D.研修・研究活動

 当研修所の日本語講師は,各種日本語教育機関が開催する研究会等において,研究報告,論文発表を予定しています。なお,当研修所専任講師は,(一財)日本語教育振興協会の専門委員の一人として,今夏開催予定の日本語学校教育研究大会の企画・運営に携わる予定です。

E.その他

 当研修所の人材育成事業の一環として,東京女子大学,学習院大学から日本語教育を専攻する学生を教育実習生として受入れ,実践的な日本語教授法を学ぶ機会を提供します。

7.公益財団法人のパブリシテイ
機関紙『ラボの世界』の発行

 事業概要を紹介し,青少年国際交流や異文化理解教育の促進を行いうために機関紙『ラボの世界』を年4回発行します。今年度は,春号(3月)・夏号(6月)・秋号(9月)・冬号(12月)をそれぞれ発行予定です。

以上